こんにちは、もりのなかの行政書士事務所です。
この記事を読むとわかることは、以下の2点になります。
- 自筆証書遺言のメリット
- 自筆証書遺言のデメリット
遺言に興味があるけれど、どんな形の遺言を選ぶのがいいんだろうといった方に向けて書いています。
では、さっそく「自筆証書遺言とは?」から始めていきましょう。
自筆証書遺言のメリット
そもそも、自筆証書遺言とはなんでしょうか?
簡単にいってしまうと「自分で書く遺言書」のことです。
自筆証書遺言は、紙と筆記用具、印鑑さえあれば作ることができます。
つまり、自筆証書遺言のメリットは、
- 費用がかからないこと
- 作りたい時にすぐ作ることができる
- 変更したいと思った時にいつでも書き換えることができる
ただし、パソコンで作って署名だけ自分でする、というわけにはいきません。
内容全てを自分の手で書く必要があります。
代筆も認められませんので、字が書けない状況の方は、公正証書遺言を利用して下さい。
自筆証書遺言のデメリット
簡単につくれて費用もかからない。いいことだらけのような自筆証書遺言ですが、デメリットも認識しておかなければなりません。
自筆証書遺言のデメリットは、おもに3つあります。
①筆跡でもめる
遺言書の筆跡が本当に遺言者の筆跡なのかが問題になります。
もし解決しないときは筆跡鑑定をする必要があり、訴訟に発展することもあります。
②みつからない
自筆証書遺言は、保管を自分でしなければならないので、遺言者がどこにしまったのかわからない場合があります。
また、いつでも新しく書き換えることができるので、以前に書いた遺言が残っていたりすると、どの遺言が最新のものなのか混乱する場合も。
また、不利な立場の相続人が保管場所を知っていた場合、隠したり捨ててしまうこともあるでしょう。
あるいは、遺言書を書き換えて自分に有利なようにする可能性も排除できません。
ただし最近では、自筆証書遺言保管制度というものができましたので、こちらを利用することでこれらデメリットは解消することができるでしょう。
③検認が必要
自筆証書遺言は、書いた人がなくなったあとにすぐ執行することができません。それは、検認を受ける必要があるからです。
検認は家庭裁判所で行われます。自筆証書遺言は封筒に入れてあることが多いと思いますが、この場合、封筒の開封は裁判所でしなければなりません。
検認には、相続人全員の戸籍謄本と、遺言者の出征から死亡までの戸籍謄本が必要になります。それらを揃えた上で申立書とともに家庭裁判所に提出します。
すると、1〜2週間後に裁判所から相続人全員に検認期日の通知書が送付されます。
つまり、相続が発生したことを教えたくない人がいる場合などは、この検認の段階でどうしても通知が届いてしまうので、こっそりと相続手続きをすすめることはできません。
追記:検認がなぜ必要なのか
検認の費用はそれほどかかりませんが、どうしても時間がかかります。
では、検認はなぜ必要なのでしょうか。
それは、不動産の名義変更をするときや、預貯金や株式などの名義変更をするときに、検認を行なったという証明書がついていないと受け付けてもらえないからです。
つまり、財産をひとりが相続するような場合であっても、検認は必須だということです。
おわりに
自筆証書遺言は安く、手軽に作ることができるのですが、その分さまざまなデメリットもあります。自分で調べて書いた内容が法的な効力を持つのか不安になる場合もあるでしょう。自筆証書遺言を選ぶ場合は、これらのリスクを理解した上で利用して下さい。
ここまでお読みいただきありがとうございました。
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